右下6の遠心根からの排膿が止まらず抜歯となった歯のインプラント手術で、骨の治りが気になるインプラント手術でしたが、レントゲン上や直視では歯槽骨や粘膜面の形状は良好でした。
スタンダードタイプではなくワイドタイプが入りそうだったので、今回は、ストローマンのワイドにした。粘膜面の切開では、排膿が長かったせいか、粘膜が癒着していて剥離しにくかった。骨面もやや粗造で頬側側にやや傾斜していたが、それでも幅はしっかりありD2で良好。ドリリングもスムーズでしたが、遠心根側がやや粗造で、オステオトームの側面を使いマージン部の骨密度を上げ削れないようにしながら、内面だけドリルがあたるようコントロール。傾斜をやや修正し、1~1.2mm深めに埋入。トルクは30~35N出ていて良好。スタンダードだとやや緩いかもと思われる骨質でも、同じドリリングでもワイドだとやはりしっかり入る感じ。ストローマンのドリルは3枚刃なので、プラトンの2枚刃で最終形成し遊びを減らして埋入。2枚刃は3枚刃よりブレが少なく骨が柔らかめの場合は、やはり向いている感じがします。
ドリリング時に採取したいた骨を周辺に置き、縫合にて終了。縫合はやはりカストロビジョーでないとうまく縫合できず、普通の持針器では、粘膜が薄い場合は、破れたり、切れてしまったり、力が入りすぎてしまうので、高いですが、これしかないかな。吸収性の糸と被吸収性の糸では、今回は、被吸収性のゴアテックススーチャーを使用。
山登りグッズでは、おなじみのゴアテックスですが、3日前の谷川岳登山では、ここでもお世話になるなこの会社と思いながら、登ってきました。NHKの取材もみかけ、必要でしたらモザイクかけますので言ってくださいって初めて言われました。テレビでモザイクの人とそうでない人がどうして混在するんだろうという疑問が解けました。「モザイクかけてください」って自分でいうってことだったということを。
今回は、ノーベルバイオケア社のインプラントを選択。骨幅がしっかりあり、上顎洞からの深さも10ミリ程度あったため、ソケットリフトの量も少なく通常のドリリングである程度いけそうだったからでした。ノーベルバイオケアのリプレイスは円柱形ではなく、テーパーがついているため、ソケットリフトが難しくドリルで完結できる症例でないとサイナースを傷つけてしまう恐れが高くなるのであまり、上顎大臼歯では使用したくてもしにくいのが実情です。
ストローマンやプラトンのようにアバットメントの接合部が広がっている場合は、サイナースに落ちるリスクはほぼありませんが、リプレイスのような形状の場合は、しっかり歯槽骨で支えられていないと不安です。上部構造の作りやすさは、リプレイスは高さを変えられるので、歯肉縁の高さをコントロールしやすいところは有利です。アバットメントの太さもあり、上部構造を作る際は、安心してつくることができ、立ち上がりの形状も良好です。
ただ、一番形状として好みなのは、ワイドの場合はストローマンでしょうか。大臼歯の場合は、インプラント形状がもっとも優れているように思います。スタンダードの場合は、ストローマンもプラトンもあまり変わりません。プラトンの場合は、Bioタイプとして薄膜HAコーティングされているものがあり、骨が柔らかい場合には、HAであるという優位性があります。
早期にインテグレーションすることも大切ですが、HAであるかないかということの方が長い目で見た時の選択肢としてはバリエーションがあるといえるかもしれません。
今回は、骨幅はしっかりですが、上顎洞までの深さが6㎜と不足しているため、ソケットリフトとセラソルブとストローマンのワイドという選択にしました。このパターンは、大臼歯ではよく使う組合せで、安心して使える流れとなります。ワイドでもスタンダードとスタンダードプラスのどちらを使用するかをインプラント埋入前に決めておかないと、歯肉縁での歯冠の立ち上がりが自然にできるかどうかの違いが生まれるため、粘膜の厚みのチェックは事前に行っておかなければなりません。ノーベルのリプレイスのように後から、立ち上がりの位置が決まるタイプであれば、まずしっかり埋入すればいいと言えますが、ネック部の位置が決まっているタイプのインプラントを埋入する場合は、粘膜面の厚みの診断が先ににてしまいます。
どちらがいいのかといわれると、好みがあるかと思われますが、プラットフォームスイッチングの考え方でいけば、同径のアバットメントが接合されるよりは、アバットメントが内縁に来るタイプの方が後々有利かもしれません。リプレイスもタイプにより内縁よりアバットメントがくるタイプもありますが、接合部が基本的に深いので操作に関しては、ストローマンやプラトンのような形状のタイプの方が有利でしょう。
今回のインプラント手術では、オステオトームの形状も円柱形のものを使用しマージン部の歯槽骨を押し広げ保ちながらインプラントホールを形成していきました。上顎では、ドリルの使用はかなり少ないですが、6㎜の場合は4㎜くらいまではドリリングを行いソケットリフトを行っていくようにしています。深さがなくても硬さがしっかりあれば気持ちとしては楽ですが、歯槽骨の硬さがないと、インテグレーションしても、将来的に、自分の歯も動く可能性がたかくなり、インプラントと自分の歯との間に隙間ができやすくなるリスクが高いかもしれません。そのようなリスクを予見することも大切かもしれませんが、怖がってインプラントを行わない場合は、自分の歯の寿命がより縮む可能性が高くなるとも考えられます。
前回、セラソルブにてソケットリフトを行い、治癒期間の後、プラトン社のBioタイプを選択。
粘膜の厚みはしっかりありましたが、歯槽骨は柔らかめで、薄膜HAコーティングの効果を期待した選択となりました。骨の感触はかなり柔らかい感触でしたが、高さ(深さ)は確保されていたようで、オステオトームでは8㎜くらいまで骨がある感触。トルク値は低く15Nくらいしか出ていませんでした。最終的にφ4.0㎜×10㎜のBioを選択して埋入。治癒期間は最低6ヶ月必要で8ヶ月が目安となります。
その他には、高血圧とシートをフルに倒すと気分が悪くなるなど、上顎のインプラント手術において手術位がとりにくく、腰に負担が異常にかかる手術となりました。
右下4,5にインプラントを予定していますが、44の位置は骨幅が不足しており、骨造成と45のインプラントの埋入手術を計画。
角化歯肉は最低限しか無さそうでしたが、角化歯肉を移植行わずインプラントが埋入できそうだったので、まずは、人工骨の移植とインプラントの埋入のみにしています。今回は元々骨幅が不足していて、高さはある状態だったので、φ3.7㎜というストローマンには無い中間のサイズがあるためにプラトンを選択。現状の骨幅では、φ3.3㎜は入りますが、φ4.1㎜の標準タイプは厳しく、φ3.7㎜ならば1回法で埋入可能であるため、プラトンにしました。
このφ3.7㎜は非常に使い勝手が良く気に入って使用しています。それは、インプラントシステム自体が白人により開発されており、アジア人の骨格をベースに規格化されていないせいではないかと思われます。この0.4㎜の幅の違いは非常に大きく、ストローマンのSLAアクティブのように早期にインテグレーションするのもいいですが、もともとの骨幅が人種で違う以上、いきなりφ3.3と0.8㎜も細くなると、小臼歯部には使用をためらうこととなり、骨造成してφ4.1㎜の標準タイプを選択するしかないというのは、インプラント手術自体を難しくしているように思えてしまいます。
ストローマンも最近では長さ4㎜という超短いインプラントを発売しており、深さがない症例への対応を本数でクリアしようという流れがあります。また、素材自体がチタンのみではなく、ジルコニウムの合金とすることで、細くても強度の強いインプラントフイクスチャーの開発がされています。それなら、ストローマンもかゆいところに手を伸ばし、φ3.7㎜というサイズのインプラントフィクスチャーの開発も行って欲しいものです。もうすでにφ3.3㎜があるのですから。
iPhoneやiPadもサイズ展開をはかることで売り上げを伸ばしたと思いますが、ストローマンも革新的ではなくても、サイズだけで、手術が変わる訳ですから、サイズは非常に重要だといえるでしょう。
根管治療を以前行っていましたが、調子が悪く、歯根端切除を他院にて行ったそうですが、押すと違和感があり何かおかしいと。それでも再根管治療を行いコアを立てオールセラミックを入れて15年程経ちました。やっぱり、インプラントでやり直したいとの希望により、抜歯即時インプラントを予定することに。
抜歯を行ってみると、根尖部から昔のHAのようなものが出てきました。綺麗に掻把を行い、ドリリングを行い位置決めを行った後、セラソルブを填入後、インプラントフィクスチャーを埋入。ノーベルにしたのは、アバットメントがジルコニアにしたかったということが大きいのですが、この患者さんは、粘膜が薄く、歯根の濃い色が粘膜から透けて見えてしまうため、粘膜貫通部がジルコニアで白いものにする必要性があったためです。骨レベルのインプラントはいいのはいいですが、アバットメントや上部構造をつくる工程の難易度があがり、時間も費用も大幅に増加してしまいます。粘膜貫通部の深いところに継ぎ目が発生するのと、粘膜レベルのインプラントのように、粘膜面に継ぎ目が発生するのでは、たわみや細菌感染の影響や漏えいなど目に見えないレベルでの影響が発生してしまいます。粘膜の厚みが深くても炎症が少ないタイプに収まれば問題ないのでしょうが、歯周病のリスクの高い方の場合は、炎症が起きやすい状況が残るため、自分の歯の歯周ポケットを5㎜以下にしっかり保ち、歯周病菌による影響が、インプラント周囲炎に移行しないように十分にコントロールしていく必要が出てきます。
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