インプラント治療スタイルは、国際・日本口腔インプラント学会所属院長が、インプラント治療難易度や種類、医院ごと特徴・費用差がなぜ起こるか?など疑問を解説。

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インプラントとタバコの関係

タバコを吸うと肺がんになりやすくなるとわかっていても、吸ってしまう喫煙者の方々も、40代、50代となると統計でみても他の方と同じく、歯を失っていきます。同じくというよりも、もっと歯を失っている人が多いでしょう。喫煙により、肺での酸素取り込み力は落ち、末梢の毛細血管のかたまりである口腔内の粘膜組織は、貧血になりやすくなり、免疫力の低下がおきやすくなります。唾液の分泌量も減少しますから、これもバリアが破れやすくなる原因のひとつとなり、歯周病のリスクを高めてしまいます。そのため、喫煙者は、歯周病のリスクは、非喫煙者と比べると、高くなってしまうのです。しかも、ニコチンは、歯面につきますが、ツルツルの歯面に汚れであるニコチンがつき、そのザラザラした部位には細菌にとっても足がかりとなりやすくなってしまいます。

インプラント手術では、この毛細血管の塊である歯肉粘膜を切断し、血行を分断する訳ですから、もともと貧血気味の歯肉粘膜にとってみると、何事だという状態になります。インプラント自体も金属な訳ですから、血流にとってみると邪魔です。血液の流れを阻害いたします。そのため、切開した傷の治りが悪いという現象が起きやすくなってしまうのです。当然、本数が多い人のほうが、ダメージは大きく切開し縫合した歯肉の傷の治りは遅くなってしまうのです。骨にも当然ダメージはでていると思われますが、粘膜ほどはっきりと感じるレベルではありませんが、骨も弱ってしまうと骨芽細胞と破骨細胞のバランスにも影響することが考えられます。インプラントを埋入した直後は、その時のある骨で支えられますが、その骨は最初の1週間くらいはしっかりしていますが、その後急激に吸収して5週間後くらいにはかなり無くなっていきます。それに対し、新生骨が徐々にできていき、5週間後くらいには新生骨によって、2次的な安定する状態に移行していきます。一番の不安定期は3週間後ですが、喫煙者の場合は、新生骨の増加が不足しがちになるリスクが高くなるということも意味します。粘膜の治癒がうまくいかない訳ですから、骨面が口腔内に露出したりすることで、感染にさらされることになります。このような状態は、骨が腐骨化しやすくなり骨が減ってしまう可能性すらあるのです。

粘膜面もあまりの血行不良だと壊死してしまいますから、新しく歯肉粘膜組織が再生する期間待つ必要があり、治癒期間も健常者と比べると長めにとる必要が出てきます。というより、失敗するリスクが高いと表現した方がいいのかもしれません。手術が無事終わっても、歯肉粘膜組織の血行は悪い訳ですし、2回法で完全埋入してリスクを減らせたとしても、上部構造を入れた後は、血流の邪魔にしかならない金属の塊がつき出している訳ですから、安心してはいられません。天然歯のように繊維が歯に直接刺さってバリアをしっかりできているのに比べて、繊維はインプラントの周りをグルグルまわって存在するしかなく、細菌感染のリスクは、天然歯より高くなってしまいます。上顎前歯のように粘膜が厚い場合は歯周ポケットのような、インプラント周囲粘膜が深くなってしまい、歯周病菌のリスクの高い患者さんの場合は、細菌性炎症が起きやすくなってしまいます。やはり、ハイリスクな状態からは、脱することは困難なので、インプラント自体の寿命も短くなる可能性が高くなってしまうと考えられます。

インプラントと電子タバコ

電子タバコの害

最近はタバコをやめ、電子タバコに移行する方が増えてきたように思います。昔からのたばこと比べると遥かに健康的なイメージですが、タールの量は減るようですが、ニコチンの量は減らないようで、歯医者としては、少しがっかりしました。電子タバコならインプラントしても大丈夫ですよと言えないからです。歯医者にとってみると、粘膜という毛細血管が、貧血になり、干上がるのかが問題で、タールによる色素は歯磨きや衛生士さんに落としてもらえば済むからです。

抜歯後の歯槽骨の直りの悪さや、傷口の治癒の遅さ、インプラントと骨の接合の弱さ、治癒の悪さは変わらないということなのです。

ただ、電子タバコに向かい最終的にタバコがやめれるようである要素が強いようであれば、意味があるのかもしれませんが、インプラント治療や歯周病治療を専門とする歯科医師にとってみると、解決策にはなっていないようです。

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