インプラント治療スタイルは、国際・日本口腔インプラント学会所属院長が、インプラント治療難易度や種類、医院ごと特徴・費用差がなぜ起こるか?など疑問を解説。

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高度・先進インプラント

高度・先進性の高いインプラント治療とは?

術者側からみて難易度が高いと思われるインプラント治療とはどのようなものでしょうか?

オールオン4

インプラント歯イメージ

    インプラント治療が不可能かと思われるような顎堤が吸収していると当然インプラント治療は困難で、そこにインプラントを埋入する技術は、難易度が高いといえるでしょう。
    特徴的なものが、ノーベルバイオケアから発売されている、オールオン4と呼ばれるものは、上か下の顎堤に4本だけのインプラントで、インプラントの埋入を済ませてしまうというもので、最少本数でできるという意味では画期的のように思いますが、特にすごいな、これは自分にはできないなと思われるインプラントは4本の非常に長いインプラントを頬骨あたりまで打ち込み、レントゲン画像では、人造人間のようなレントゲン像がみられるインプラントです。

    そんなに深くまでインプラントを埋入する必要ってあるのかな?とか、この中の1本でもダメになったり、アバットメントが折れたりしたらどうリカバリーするのだろう?って思うと、この手術方法をマスターしたいという気持ちにはなれないのですが、このインプラント手術ができるというのは、業界では、特徴的手術のせいか、最高峰のような存在になっているようです。しかし、下顎では、顎堤が吸収している場合には、そのような長い4本のインプラントが入れられる訳ではないので、短いインプラントを6本とか8本とか埋入せざるを得なくなると、通常どおりの普通の手術だなぁとも思ってしまいます。

    そのほかには、4本で入れるということは、義歯タイプの歯しか入らない訳で、見た目の歯並びはきれいでしょうが、どこまで患者さんが満足できるのかは、個人差があるような気がします。
    無歯顎になってしまい、総義歯での生活に不都合を感じている場合は、粘膜にのせる総義歯と比べると、はるかにしっかり咬めるようになるでしょうし、総入れ歯タイプであることには変わりないので、見た目はあまり変わらないといえるでしょう。

    歯周病のインプラントは困難?

    歯周病の歯のイメージ

    インプラント治療で厄介なのが、歯周病の方です。インプラントは歯周病になってしまうからです。

    インプラントの手術自体がうまくいってしっかりとした歯が入っても、インプラントが歯周病になってダメになってしまったら、元も子もありません。しかし、歯を失う場合、大半が虫歯か歯周病により失うことになるので、歯周病のリスクをもった方のインプラント治療には、頻繁に出くわすことになってしまいます。患者さん本人としては、他の人と比べることは、難しいので、理解しにくいところでありますが、我々歯科医師は、大勢の方を診察するので、常に比較しているのです。
    インプラントは骨から、粘膜を貫通させる治療となるため、歯周ポケットのような形状が必ず発生します。そこの粘膜の厚みが厚く5ミリ以上ある場合は、やはり、歯周病の影響を受けることになってしまいます。

    インプラント治療を行うには、しっかりとした、歯周病治療と、歯磨きの生活習慣を変えるくらいのモチベーションがないと、長期間インプラントを温存させることは、困難になる場合があるということをご理解していただきたいと思います。
    メンテナンスやリコールはインプラント治療には確実に必要になってくるものなのです。メンテナンスフリーということはけっしてありません。

    適応症の拡大による難度

    インプラント手術風景

    私がインプラント治療を始めた17年前は、上顎のインプラント治療それ自体難症例でした。

    人工骨もなく、対応するには、自家骨しかありませんでした。インプラントフィクスチャーの表面性状も現在ほどではなく、下顎で3か月上顎で6ヵ月の治癒期間が必要とされていました。それより昔は、表面構造が鏡面であったり、ブレードタイプであったり、歯と同じように、揺れるものがあったり、サファイアでできていたりと確立されていなかったように思います。
    CTについても、当時世代が古いと折角撮影してもそれほど役に立たないような画像しか見れなかったりということもありました。その分インプラント治療を行う歯科医師も少なく一部の歯科医師が行う治療という概念だったように思いますが、この10年の間に大幅にインプラント治療が普及し、多くの歯科医師が手がけ、多くの患者さんが享受する時代があっという間に来た気がします。インターネットの普及によるところも大きいと思いますが、患者さんの治療の概念が変わったのだと思います。

    私がインプラント治療を始めた頃、美容外科や心療内科は普及していませんでしたし、美容外科は市民権を得ていなかったように思います。時代が変わったのです。
    インプラント治療の歴史も40数年しか経っておらず、歴史が浅い治療であるため、情報も混乱しますし、オーバーな表現も多くなったり、インプラント価格競争の様相を呈して来たりと、普及期の混乱期にあるのかもしれません。あと10年もするとまた、だいぶ違ってきているかもしれません。

    適応症の拡大に伴い出来ることは増えましたが、元々骨が柔らかかったり、薄かったりと、土地でいうと地盤の悪いところに家を建てる技術が進歩したという感じでしょうか?
    適応症が増えたと言っても、時間がかかる事が多く、できなかったところにもインプラントが入れられるようになったといった感じです。

    即時荷重負担による難度

    もともとインプラント治療は、上顎6ヵ月、下顎3か月の治癒期間をおいていました。

    ところが、一定条件のもと、ある一定の硬さ(35ニュートン)以上で骨にねじ込んだ場合には、即時に仮の歯を入れて使用できるという論理です。骨の条件が良ければ、即時までいかなくても、かなりの治癒期間を短縮できることが多くなり、下顎では1か月くらい、上顎はまちまちですが、3か月くらいでも問題の無いケースも増えています。
    即時荷重が出来る場合は初期固定がしっかり出来る場合ですが、初期固定が出来ていても、インプラントと骨がくっつき始めるのは48時間後以降ですし、粘膜の治癒は1週間で約半分、2週間でようやく粘膜がふさがるので、即時といっても、粘膜がふさがるまで待つことも多いです。

    また最近では、テンポラリーインプラントという仮に入れて必要なくなったら外すというインプラントシステムも用意されています。これにより、多数歯欠損で無理して即時荷重するより、合間にテンポラリーを入れて組み合わせることで、しっかり骨とインプラントが接合する時間を稼ぐことが可能となり、バリエーションが増えることで、より安心安全なインプラント治療が実現されるようになってきています。

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