インプラント治療スタイルは、国際・日本口腔インプラント学会所属院長が、インプラント治療難易度や種類、医院ごと特徴・費用差がなぜ起こるか?など疑問を解説。

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前歯のインプラント治療

前歯のインプラント治療

こちらではインプラント治療の中で、非常に難しい前歯のインプラント治療について紹介いたします。

事例のご紹介

ここでは当医院の患者さんの事例をご紹介いたします。

右上1インプラント

右上1がインプラント

虫歯になりやすく前歯2本の治療をされていましたが、右上1は保存不可能でインプラント治療となってしまいました。MTMにて骨や歯肉がやせないようにコントロールし、人工骨とインプラント治療により左右差が少ない状態にできました。笑うと、上の歯ぐきが見えてしまうタイプなため、この程度で収まってくれたのは幸いです。

右上2インプラント

右上2がインプラント

前歯4本の治療を行っていましたが、右上2が歯根破折していることがわかり、やむなく抜歯し、即時埋入と人工骨により治癒をはかりました。左上2と比べそん色ない位置と形状が確保できたことは幸いでした。歯ぐきが見えるスマイルの人は、はらはらします。全ての方のインプラント治療がこのようにできるといいのですが、全てという訳ではありません。

インプラント前歯治療

右上1がインプラント

前歯のインプラント治療のオールセラミック治療は、インプラント手術による埋入位置が非常に重要ですが、それだけではないことをご紹介します。それは、インプラント治療がブラックトライアングルができやすいのです。笑うと見える黒い影は仕方ないと歯科医師に言われると諦めてしまいます。しかし、毎日みえて気になるのです。何人かの先生に相談してみてください。誰か解決してくれる先生が現れるかもしれません。

右上2がインプラント

一番気になる上顎真ん中1番の歯の差し歯がダメになったら?

前歯を失ってインプラントイメージ

上の前歯が無くなると考えると、悪夢のような出来事だと思います。
私自身は、インプラント治療を受けたことがありませんが、考えたくもないようなことで、生涯の中でもかなりショックなことです。一大事という気持ちは、共有したいと思います。

(右の写真は真ん中に見える光って見える右上の中切歯がインプラント治療された歯になります。実際には横の縞模様も再現されており、自分の歯と比べて見分けがつきません。歯肉の高さもほとんど天然歯と差が無く、全てのインプラント治療においてこのような天然歯と遜色ない歯が入れられれば良いかと思いますが、それぞれ条件が違いますので、全てうまくいくという訳ではありません。また、審美性という面では全体の歯並びをコントロールする必要があり、インプラント治療として遜色ないという限定的な治療結果となります。

状況にもよりますが、どうしても抜歯が必要となった場合、最善の方法は、歯を部分矯正装置を使いゆっくりと引き上げて抜く方法です。面倒ですが、天然の骨の失う量を最小限にすることが出来ます。

唇側(外側)の骨は非常に薄く、普通に抜歯すると、簡単に失いやすい部分の骨です。抜歯を行うと骨に穴があいてしまいますが、半年もすると、新しく骨が出来て穴はふさがりますが、薄い部分の骨は吸収されてしまい、その部位にインプラントを埋入しようとすると、元ある歯と比べるとずいぶん歯肉は痩せ、歯は長いものを入れることになってしまうのです。

それを防ぐにはどうするか?
歯科医師は、このテーマに向き合いいろいろなテクニックを編み出しています。
よく行われている方法は、抜歯を行い、薄い骨が吸収する前に、人工骨を入れ、補強しインプラントを埋入することで、歯肉形状の変化を最小限に抑えるという技術です。

問題もあります。
インプラントを埋入する時点で、本来骨に埋まっていないといけない部分が、埋まっておらず、人工骨でカバーしているということです。
大体の場合、人工骨が生着し、直後の状態は良好に保てる場合が多いのですが、チタンと骨の間に隙間がある場合、インテグレーションが弱まっている可能性は残ります。HAの場合は、骨を誘導するので、多少の隙間がある場合は、HAのほうが有利ですが、歯周病などの細菌感染のリスクは、HAのほうが高いので、いいことばかりではありません。
上の前歯の歯肉は割合厚みがあり、インプラントの貫通部のポケットが深くなる場合は、炎症が起きやすくなってしまう可能性があるのです。

一番見える場所ですし、どこまで作り込んでもやりすぎということはなく、限界に挑戦していくしかない治療部位であるといえます。

丸の内デンタルでも、上記の要素を全て踏まえて、治療計画を立案していますが、予定道理うまく出来た時、患者さんと喜びを分かち合う気持ちになれます。
うまくできてよかったと、ホッとする気持ちでいっぱいになりますね。

1本だけでなく、2~3本のインプラント治療の場合

通常インプラント治療を行う場合、最小限の本数を埋入するため、連結タイプの設計を行います。しかし、せっかくインプラント治療を行うのであれば、一本ずつ分かれた歯がいいとおっしゃる方も当然おられます。

ですが、インプラントとない歯の分すべて、埋入するということは、ほとんどの場合困難というよりは不可能な場合が多いです。
インプラント周辺に必要な骨の量が自分の歯より多く、数本の抜歯により、歯槽骨の顎堤が細くなっていて、条件が悪いことも多いのです。

ブリッジタイプにしても、条件がいい訳ではないので、前歯のインプラント治療が難しいことに変わりはありません。

前歯全てインプラント治療の場合

上顎全てインプラントの症例

前歯全てを失ってしまっておられる方も当然おられます。

奥歯も失われていることも多いのですが、奥歯があるのかないのかによって対処方法も変わってしまいます。基本的に咬み合せは奥歯で支えられていて、前歯は咬む力は少なく、薄く板状の形であり、上の歯と下の歯は、上の歯を突きあげるように生えていますそのため、最も見え、目立つ前歯だけしっかり治しても、突き上げを食らうため、奥の歯の支え無では、インプラントの寿命は極端に短くなってしまう可能性が出てきてしまうのです。
それに加えて歯ぎしりされる方の場合はより寿命が短くなる危険性が高くなってしまうことを前提にインプラント治療を行わないといけないという事実があるのです。

奥歯はしっかりあるのに、前歯だけを失っておられる方もたまにおられますが、その場合には、インプラント治療を行うと当然、1本ずつ分かれた歯が入るものだと思っておられる方も多く、普通はつながった歯が入るというとびっくりされることもあり、どうして1本ずつにできないのか?と聞かれます。

インプラントは、自分の歯の生えていた場所とは、微妙に内側に入って埋入手術がなされること、インプラント周囲には1㎜以上の骨があること、インプラントとインプラントの間はより離して埋入手術を行わないと、インプラントが近接していると骨吸収しやすいことなどが問題としてあげられ、インプラントも1本より2本。2本より3本とつないだほうが、しっかりするということがあげられます。

その他には、費用の問題もあり、最小限の本数にした方が、インプラント治療費を抑えられるという要素もあるため、インプラント治療を行う側からすると、その思考がまず先にきてしまい、バラバラで天然の歯の状態のようにしようとの思考が少なくなってしまうということがあげられるかもしれません。

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