こちらでは奥歯のインプラント治療について紹介いたします。
下顎のインプラントの位置模型
奥歯で経験の浅い先生でも取り組めるのが、下顎の奥から2番目の(6番)の第一大臼歯です。
それは、下歯槽神経からの距離が確保されやすく、骨の幅が、標準タイプのインプラントが十分入る可能性が高く、骨の骨密度が適度に硬いため、ドリル操作のブレが起きたり、軸方向を間違えても、修正しやすく、予後も安定しやすいのです。
インプラント治療では、安心して手術を受けやすい部位であるといえるため、インプラントが怖くてできないという方でも、頑張って、手術を受けると、その後は、しっかりと歯が入るという、頑張ったご褒美にありつきやすいといえる場所でしょう。
第1大臼歯と打って変って急に難易度が上がるのが、第2大臼歯です。
隣の歯ではありますが、インプラント手術での難易度は、大きく上がります。
それは、下顎の形状によるところが大きく、内側の舌がある側の骨がえぐれているため、歯をつくりたい方向とインプラントが埋入できる方向に違いがあることが大きいためです。これにより、埋入角度や、インプラントフィクスチャーの長さに制限がでてくることが多くなります。
また、下歯槽管との距離も近くなることがおおく、骨密度も隣の第1大臼歯の硬さと比べ、柔らかいことが多くなります。
この他にも、抜歯に至る経緯により顎の土手の部分がやせて吸収している場合などは、より難易度が上がっていきます。
大臼歯の手前の小臼歯部も第1と第2は歯の形状はほぼ同じなのですが、難易度には違いが出てきます。
これも、顎の中の下歯槽神経によるところが大きいといえます。
それは、オトガイ孔と呼ばれるところに、顎の中を走ってきた神経が骨の中から外に出てくる場所が、第2小臼歯の真下にはあるのです。そのため、インプラント埋入するには、この部位を避ける必要があり、場合によっては、粘膜を剥がし、神経が出てくる位置を直視し、実際のインプラントが入りうる高さを確認しながら埋入していくことも出てきます。
第1小臼歯では、そのようなことはありませんが、下顎骨が第2大臼歯より硬くなっていく傾向にあります。
場合によっては、硬すぎる場合もしばしばで、皮質骨が厚くなり、海綿骨が少なくなることで、インプラントフィクスチャーへの血流が不足しがちになる可能性が出てくるため、出血量の確認が欠かせなくなってきます。
小臼歯部では、骨幅がやや不足しがちになるため、レギュラータイプのインプラントでは、入りきらなくなることもでてきます。あくまでも、インプラントフィクスチャーは白人によって開発された歴史があり、白人の顎骨に向いた設計になっているといえます。
骨格のきゃしゃなアジア人の顎に白人と全く同じサイズのインプラントが入るとは考えるべきではないでしょう。
インプラント周囲には1㎜の骨幅が確保されておく必要がありますが、4.1㎜の標準タイプの場合、6.1㎜の骨幅が必要となるということです。
顎の骨は外側が斜面のようになっているため、頂上の平面部で6ミリ確保できないことはしばしばでてくることではあります。その場合には、3.7㎜のインプラントであったり、3.3㎜のインプラントの選択が必要になってきます。
正確なインプラントフィクスチャーの選択が事前になるのが、小臼歯のインプラント手術といえます。
いいこともあります。
それは、インプラントの形状と小臼歯の形状はかなり近く、大臼歯ではチューリップのような頭でっかちとなりますが、小臼歯では適切なサイズとなり、自然な形状の歯が作りやすくなります。
上顎の第1大臼歯と第2大臼歯では、下顎の第1と第2の差ほどの難易度の差はみられません。
しかし、下顎の大臼歯のインプラント治療と比べると上顎大臼歯のインプラント治療の難易度は上がります。それは、ほとんどの場合で骨の高さが不足してしまうことと骨の硬さが不足してしまうことが大きな要素となります。
上顎骨は、下顎と比べると皮質骨が薄く、海綿骨が増加します。インプラントフィクスチャーを埋入するにはもともとやや骨の硬さが足りないのです。
それに加えてアジア人の顎骨はきゃしゃなため、上顎洞(鼻からつながる副鼻腔で頬骨の下あたりに大きな空洞があります)から歯槽骨までの骨の高さが、第1・第2大臼歯では、かなりの確率で不足してしまいます。
そのため、人工骨を使用したサイナースリフトやソケットリフト(上顎洞を持ち上げ、人工骨を填入し骨の高さを確保する技術)と呼ばれる技術によりその問題を解決していますが、上顎骨の硬さを改善するには至っていません。
その他に粘膜の厚みが厚すぎるという欠点もあります。
インプラントは骨に埋める手術ですが、粘膜を貫通して歯をその上ににつくることになります。粘膜が厚いということは、歯周ポケットのようなものが、物理的に深くなりやすくなってしまうということを意味します。
歯を失うには、虫歯か歯周病により失いますが、歯周病で失った場合は、インプラントも歯周病になるため、より注意が必要になることを意味します。
歯周ポケットの目安は5ミリを超える部位が口腔内に1か所でもあると、そこで繁殖した歯周病菌が伝染すると考えれれており、インプラント部を含めたポケットの厚みをコントロールする必要性が、安定した予後を確保することになるので、上顎の粘膜の厚みは、手術後の歯が入った後から、問題になることが多いといえます。
昔は、上顎のインプラント手術は不可能と考えられた症例も多数ありましたが、とりあえず、人工骨の進化により、インプラントフィクスチャーを埋入し安定した予後をみることはできるようになりましたが、人工骨の歴史がすごくある訳ではないので、絶対安心といえるものではありません。
しかし、この技術がなければ、義歯しか入れられないケースも多く、未知の部分も多いと言えますが、これ以外に方法は今のところありません。
上顎第1小臼歯と第2小臼歯は同じような形状をしていますが、顎の形状はちょっと違うことがおおいです。
それは、第2小臼歯のあたりから、上顎洞の大きさが大きくなり、上顎歯槽骨の高さが不足してくるのです。第1小臼歯では、ほぼソケットリフトが必要なくインプラントフィクスチャーは人工骨を使用することなく埋入可能なことが多いのですが、隣の第2小臼歯では、高さが不足し人工骨を使用する頻度が格段に上がります。隣なのに難易度が上がるのです。
その他に、角度の問題も発生しがちです。
上顎の歯は、外に広がるように生えておりインプラントを埋入する方向がズレがちなのです。自分の歯は顎骨外側にへばりつくように生えているため、外側の骨は非常に薄く、内側はかなり厚めの構造になっていますが、インプラントフィクスチャーは円柱形で周囲に平坦な安定した骨を必要とするため、外側の骨が不足しがちになります。
そのまま埋入できる場合も、骨の中央部に埋入していく場合には、出っ歯のような方向にインプラントを埋入することになってしまいがちなのです。
幸いインプラントはアバットメントと呼ばれる土台部は角度が変えられるものがあるため、軸方向を変化させ、歯並びに合わせた状態をつくることは可能ですが、インプラントのパーツの強度や力のかかり具合でいうとまっすぐ咬合力のかかる方向にインプラントが埋入されていることがベストではありますが、小臼歯くらいから角度に問題がおきることが想定れてきます。前歯のインプラント治療では、ほとんどが角度付きのアバットメントを使用するしかなくなってしまうのです。
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