こちらでは人工骨を使用したインプラント治療について紹介いたします。
インプラントを自分の体に入れるということに抵抗のある人もずいぶん減ってきましたが、17年前の私がインプラント治療を始めた頃は、インプラント治療なんて怖いという方のほうが圧倒的に多く、インプラント治療を提供する医院もずいぶん少なかったように思います。
美容外科や心療内科(精神科)なども今のように受け入れられていない時代でしたし、インターネットもありませんでした。
その当時は、自家骨(自分の骨を違うところから取る)を他の部位から採取し、足りない骨の場所に足していました。
やはり他の場所から採取するのは、術者側にも抵抗があり、なるべく他の場所からの骨の採取は避けていました。上顎の骨が全く足りない部位では、義歯であきらめてもらうこともよくありましたが、下顎の歯が無い人が、需要と供給の関係のせいか、下顎の症例の手術だけで、頻繁にインプラント手術が多かったように思います。
しかし、他種の骨(牛)などが出回るようになり、牛の無機質成分抽出でしたが、頻繁に使用するようになりました。
予後も良く抵抗感はありましたが、流通していた時代がありました。
しかし、狂牛病の問題が起こり、関係はないのですが、使用することはなくなり、人工生成骨を探し、いろいろ試しながら、現在の人工骨に落ち着いています。
今までの経緯からも、より良い人工骨の開発も行われることだと思いますが、自分の骨とは違っています。
自分の骨は、表面が皮質骨で内面が海綿骨と2層構造となっていますが、人工骨は層が別れることが無く単一層にしかなりえないのと、歴史は浅く、天然の自分のものではない以上「絶対大丈夫」とは言い切れません。
しかし、歯を失った状況は変えることはできません(2度歯が生えることはないため)ので、そこに歯を入れて人工的な歯を再生させる治療としてなくてはならないものですし、「リスクなし」という選択肢は存在しないのです。最善の対応がインプラント治療であった場合に人工骨を使用すれば手術が行えると診断できた場合はその時のあらゆるリスクを検討した上で、インプラント治療を選択することになった場合は、覚悟して踏み込むべきでしょう。
人工骨の使用は、確実にインプラント治療においてなくてはならないものとなってしまいました。下顎では、使用する機会は少ないですが、上顎では、頻繁に使用しています。
というより、なにもなしでは、インプラントが埋入出来ない部位が多すぎるということかもしれません。特にアジア系は、骨格がきゃしゃなためか、骨が薄いことがおおいのです。
今のインプラント治療が、人工骨にかなり依存していることは確かではないでしょうか?
ソケットリフトは、好んで良く行う治療技術の一つです。
上顎の臼歯部では、鼻腔から副鼻腔の上顎洞という空洞がほっぺのあたりから奥のあたりにあり、そこの骨が薄い(高さが無い)場合に、インプラントフィクスチャーがしっかり埋まるようにするには、人工的な骨を追加しないとインプラントを固定できないことが多いのです。
アジア系の骨格は、ここの骨がやはり薄い人が多く、白人と比べると、上顎臼歯部のインプラント手術は難易度が高い人が多いともいえるのではないでしょうか?
ソケットリフトは、縦方向に上顎洞に穴をあけ、そこに人工骨を入れていきます。
大きく開ける先生も多いようですが、丸の内デンタルでは、なるべくインプラントを入れる直径以下の穴をあけそこに人工骨を入れるようにしています。そうすれば、インプラント埋入時に骨をもう一段押し広げて骨密度を上げることもできますし、穴自体が緩くなっていないので初期固定がしやすくなるので安心です。
ソケットリフトは、インプラントフィクスチャーを同時に埋入することも多いのですが、骨の状態に合わせて、一度骨移植だけ行い、次回にもう一度骨移植とインプラント埋入と2度に分けることも多いです。サイナースリフトに比べ侵襲は非常に少なく、サイナースリフトが非常に腫れるのに比べ、腫れはほとんどありませんので、術後の日常生活に支障が出にくいのも特徴です。
問題もあります。
入れられる骨の量がはるかに少なく、上顎洞内を直視するかしないかの違いがあるため、確実な骨造成を行うには、テクニックが必要となります。医科の外科手術で開腹手術と腹腔鏡手術のような違いでしょうか。
侵襲の差は歴然ですが、考え方によりますが、同じレベルの結果を求めようとすると、難易度は高いと言えます。
サイナースリフトは、上顎洞までの歯槽骨の高さが1~3ミリくらいの場合の多数歯インプラント治療をどうしても行いたいといわれる際に行っています。
侵襲が大きく、腫れが2週間くらい続くのが、一番の難点でそこが気になりあまり好んで行わない理由でしょうか。しかし、ソケットリフトで対処できない場合もあり、必要に応じてという手技となっています。
歯槽骨の顎堤側方が人工骨でおおわれるため、そこの骨がしっかり固まらないとがけ崩れのような骨の崩れがおきるリスクも気になる要素で、確実に多くの人工骨を填入できるのですが、窓を大きく開けるため、自分の骨壁が大きく損なわれ、人工骨壁になることへのリスクが気になる術式です。
どのような手術も一長一短があります。
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