歯の詰め物や被せ物を歯とくっつけるには、歯科用の接着剤を使用します。その中の概念として、接着と合着という概念があります。仮着というものもありますが、最終的にくっつける行為は接着と合着です。
どちらが、くっつく力が強いかというと、接着になります。違いは、化学的に接着反応しているのかどうかの違いです。どちらも、歯と補綴物の間の接する面の微細な凹凸にセメントが入り込み硬化することにより固定化されるということは同じです。
種類でいうと
接着性セメント:接着性レジンセメント、セルフアドヒーシブセメント
合着セメント:レジン強化型グラスアイオノマーセメント、グラスアイオノマーセメント
に分けられますが、イメージ的には、合着セメントが保険治療で接着性セメントが自費治療という感じです。3M社でいうとビトレマー2が保険治療で使われ、リライエックス ユニセム2
が自費治療といったところでしょうか。リライエックスは色が透明なトランスルーセントと一般的な歯の色のA2と白濁してオペーク色の入ったA3オペークに分けられますが、ビトレマーは白色のみとなります。ビトレマーは基本的に健康保険の治療で使う銀合金の合着に主に用いられるため、オールセラミックのような透ける素材にはもちることを前提とはしていません。
最近の自由診療ではほとんどがゴールドの金合金を望まれなくなってしまったので、接着性セメントのような透けるセメントばかり使用するようになってしまいました。
特にリライエックスの硬化のスピードは超早で光照射で1秒で硬化します。昔のカルボキシレートセメントなどは、硬化に5分位かかっていたので、唾液による影響が懸念されました。1秒だと唾液の影響は皆無です。処置精度を上げる要素のひとつとしてくっつくまでの早さは当然あります。単純に術者の技量というより接着剤の性能が上がっていっているといってよいでしょう。そうなってくると気になるのは、継ぎ目の漏えいです。プラークをしっかり除去しなかった場合や不適切な表面処理が行われると、セラミックと歯の間に黒い筋のようなものがみられるようになります。接着があまいのです。奥まで浸透する訳ではありませんが、目立つので、接着操作の前処置にはかなりの時間をかける必要がでてきます。金属の扱いやすさとセラミックの扱いやすさにはかなり差があり、セラミックの場合には、金属と比べだいぶ時間も、神経も磨り減ることになります。丸の内デンタルでは8倍のルーペを常時使用しながら操作を行いますが、e.maxのセラミックの詰め物ひとつつけるのに1時間の予約を必要としています。時間がかかるのです。健康保険での金属の合着に1時間かける先生はおられないかと思います。試適を合わせて15分~最大30分あれば合着できます。白い歯ってとてもいいのですが、接着を行う必要があり、時間を取られる以上値段もそれに応じてかかってしまいます。
近年のMIの概念は、歯質の削除量を減らすことにつながりますが、このような時にも、接着により保持力を補強することが可能です。セラミックは金属と違い欠けることがありますが、接着力が上がることで、薄い部分の剥がれやたわみにも以前より強度が増すことにつながり、より安心して治療が行えるようになっています。
工業界では、ベニア板を何枚も重ねあわせて接着することで使用することが多くなりました。これも接着材の進化によるものだと言えますが、表面に無垢材を張り付けて高級感を出すことができるようになり、無垢材だけでつくる時と比べてコスト面でも劇的な変化があると思われます。このように、歯科だけでなく、さまざまな所で、接着剤の進化により私たちの暮らしは、より快適になってきていると言えるでしょう。
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